任意売却を実施する際には、弁護士などに相談をしておく必要があります。この場合に必要になる費用は、一般的に成功報酬となっています。任意売却は、その名前の通り不動産の売買が成立して初めて成り立つものです。契約が成立しないとお金が発生しませんので、依頼した側にも報酬が発生しません。そのため、弁護士などの専門家が受け取れる報酬も成功報酬が普通です。しかも、この報酬には法律的な上限金額が存在します。成約価格の3%に6万円と消費税をプラスした金額です。
こういった法律的な基準が存在するのは、任意売却の性質と関連しています。元々、この手続きは借金の返済に困った債務者が利用する手段であるため、そもそもこの手続きを行う債務者には金銭的な余裕が存在しません。ですから、不動産の売却価格から報酬を差し引く手続きができないと、債務者が費用を支払うことが出来なくなります。そして、余ったお金は残りの借金返済などに充てられます。
残債とは債務の残高のことで、任意売却をした場合にでもゼロになるわけではなく一定額が残るため計画的に返済を行う必要があります。不動産を売却して債権者に代金を支払ったとしても借入金の残額が残るのが一般的であり、全額が返済されなければ抵当権などの担保権は解除されません。しかし任意売却の場合には債権者が承諾した上で行われるため、売却後に残債がある場合でも抵当権を抹消してもらうことができます。不動産を売却するまでに住宅ローンを滞納していた場合には、任意に売却したとしても返済が可能になるわけではありません。金融機関などの債権者もそのことをよく理解しているため、売却後には債務者が無理せずに返済できるよう交渉が行われます。
手続きの処理過程では月々の収支を記載した生活状況表を提出することになりますが、この表の記載に基づいてより軽い負担で済むように毎月の返済額が決定されます。一般的に毎月の返済額は5千円から3万円ほどになるため、以前と比較して負担が軽減され計画的な返済が可能となります。